エンタメな歩き方

エンタメな歩き方

孤独なエンタメ好きがジャンル問わず想いを共有します。

 |   |   |   |   |   | 

【藤井健太郎 仕事術】水曜日のダウンタウンの生みの親から学んだ悪意とこだわりの演出術

 今回は著名人から生き方を学ぶシリーズ第4弾。TBSの演出家・プロデューサーである藤井健太郎さんについてフォーカスしたいと思う。藤井さんは水曜日のダウンタウン」「クイズタレント名鑑」「クイズ正解は一年後」など数々の番組の演出家、プロデューサーとして有名である。彼のテレビの規制ギリギリの企画、視聴者を驚かすその神業テクニックについて迫る。

 

 

※ちなみにテレビ朝日の役員待遇総合編成局制作1部所属のエグゼクティブプロデューサー・ゼネラルプロデューサー・演出家である加地倫三さんについてのブログは下記のリンクからお願いします。

 

drashidnata.hatenablog.com

 

概要

藤井さんの企画の発想法、こだわりの演出法、あとほんの少し仕事術が記述されている。クロちゃんがアイドルを育成する「モンスターアイドル」、クイズの答えを一年前に予想する「クイズ!正解は一年後」、元号である“令和”を当てるまで帰ることができない「新元号が当たるまで脱出できない生活」などなど、誰も思いつかないような企画を斬新な演出で、視聴者に提供する彼の脳内を覗いていきたい。

 

第1章:番組作りのこだわり

ナレーションは全て自分で書く

藤井さんはプロデューサー(予算管理、制作チーム出演者のキャスティング)に加えて、演出も兼ねている。彼曰く、現場での機転で収録自体を面白くすることができないからこそ、企画内容をじっくり考えたり、時間をかけてクオリティを上げているそうである。そのため、事前に企画内容や演出方法はもちろんのこと、ナレーションまで自分で考え、徹底して考え抜いてから収録をしているそうである。藤井さんは自分のことくを才能型ではなく、間違いなく努力型だと自称している。

奥行きのある番組作り

ボケっと見ていると気づかないが、気づけば気づいた人だけ楽しめる物を用意しておく。知っていたら面白くて、知らない人は気にならない。これこそ、藤井さんの演出の真骨頂であろう。コアなファンであると知っているような小ネタが四方八方に散りばめており、SNSでは考察合戦が繰り広げられている。バラエティでありながら、ドラマさながらの伏線を貼っていたりしており、視聴者も意外な展開に驚かされることばかり。

(ex)

・「タマちゃんを見守る会、まだ見守ってくる」説の場合

「タマちゃんを見守る会」と検索窓に打ち込み、第二検索ワードとして「タマちゃんを見守る会 宗教」と表示されているところを短く見せた。

・「吉村破天荒ではない」説の場合

映画「メメント」を例えた表現をナレーションで入れる

・番組テーマ曲

水曜日のダウンタウンダウンタウン今田耕司の曲をモチーフにしている

クイズタレント名鑑→モンキーマジックをモチーフにしている

チーム有吉もKis My Fakeでもいろんな曲のモチーフを…

上記のように気づいた人にはたまらない仕掛けがたくさん仕込まれているそうである。とりわけOPにはたくさんのネタが散りばめられており、正直何もわからないこともある。しかしながら、その独特の世界観に視聴者は引き込まれるのである。気づいたら藤井健太郎ワールドに虜になった住人になってしまうのである。

かといって、このような小ネタや伏線は普通の視聴者は気づかないだろうし、気づかなくていい遊びの部分であるので、本選は邪魔しないようにしているそうである。さらに現代ではSNS等で答え合わせができる時代になり、自己完結だけではなく、共有できることで面白さを倍増させることができるとも述べている。この状況に関して、藤井さんは小ネタ遊びを繰り返すうちに、実際に何でもない部分にも、熱心な視聴者が勝手に深読みしてくれる逆オオカミ少年状態になると解説している。

自分の「好き」と「面白い」を突き詰める

藤井さんは最大公約数向けのVTRよりかは、ゆがんだ個性を出すVTR、誰かが強烈に面白がられる物を目指すことを念頭に置いているそうだ。

100人が1面白いものと、1人が100面白いと思ったものには同じ価値があるという考えに基づき、人数と深さをかけた面積をどのくらい大きくしていくかが勝負所だと述べている。

だからこそ、大衆向けというよりは、特定の熱狂的なファンに向けて番組を制作しているそうだ。自分の好きなこと、興味のあることをやっていくうちに、無意識の内に番組に個性がでてくる。番組のアートワークにも自分の好きな要素を取り込むことで、自分のカラーが出てくる。そして番組のテロップもいままでにないパターンの物を使用するようになってくるというのである。確かに藤井さんはプロレスやヒップホップを前面に打ち出した演出が多い。僕はアイドルとディズニー、ワンピースくらいしか守備範囲がないので、全く分からない。それでも、不思議と、彼の独特の世界観に引き込まれ、ついていきたいと思うのである。

ダメならダメなりの見せ方を

藤井さんは「5の面白さを10に引き上げるのは無理。でしたら、5を1に下げて見せる方が新しいパターンができてくる。」と述べるのである。それを表すエピソードが下記の通りである。

・「クイズタレント名鑑」のハンマー投げ選手の限界挑戦のVTR

ハンマー投げアヌシュ選手は「医者から止められている」という謎の言い訳をして現在の限界挑戦を自ら棄権。お蔵入りになるロケでしたが、「こうやって日本人は騙されるんだ」というナレーションで番組がひどい目にあったというVTRに途中から切り替え。彼が肉を美味しそうに食べるシーンや、当時のドーピング方法を説明する場面、ギャラを100万であったことも明し、めちゃくちゃ悪いやつに書き上げたそうである。

 

 

苦肉の策ではあるが、ピンチがチャンスに変わったいい例で、与えられた状況の中で一番面白くなる方法を考えたという。これまでのテレビは失敗を見せないやり方が主流であったが、藤井さんの場合、それを敢えてざんないな終わり方をするリアルな姿を見せる演出もできるという

水曜日のダウンタウンだと、後味の悪いエンディングや説とは全く関係のない悪意に満ちた部分に着目して意外な結論を導くといったこともある。まさに邪道の発想であり、逆転の発想とも呼べるであろう。

構造で遊びたい

藤井さんは自分で作るものはオチを大切にし、構造で遊びたくなってしまうという。面白さはもちろん、展開や構成であそびつつ、理屈のきっちり通ったものが作れるかが永遠のテーマとして番組を制作しているそうである。構造で遊んだ例としては、クイズの途中でドラマになだれ込む企画を作りたいという想いから作った異色の放送。

「クイズタレント名鑑」でのGoピロミ殺人事件

伏線をバラエティのクイズパートにも張り、フリを効かせ、突然出演者が死に至り、ドラマが始まるというめちゃくちゃな話だったそうである。

 当時、「クイズタレント名鑑」の存在を知らなかった自分が不甲斐ない。

基本があったらずらすのは簡単

「クイズの答えを出す」、「説を立証させる」といった入口と出口を作った上で、過程を脱線させることを基本としているそうだ。というのも、行き先がないと見ていられない物になる可能性が高く、どのように帰着させればいいのか分らなくなることが多い。

こういった信念も理論を重視する藤井さんらしい考え方であるなと感じる。

説明過多は醒める

藤井さん曰く、少し不親切位が心地よかったり、説明しない方が興味を掻き立てる場合がある。確かに僕を含めた若い人は知らないネタが多く、大人たちの笑いについていけず、愛想笑いをすることが多い。とはいえ、古くてイイもの、面白いものはその時代時代にあった解釈やエディットを加えて、新しく味付けをして下の世代に伝えていくことを意識しているそうである。藤井さんも「なんでこの人たち、こんなに楽しそうに盛り上がっているんだ?」と視聴者の興味を煽ることも大事なのかもしれないと解説しています。僕も実際にバナナマンや有吉さんの影響で好きになった昔のものがあることが多い。

 

第2章:藤井健太郎 全仕事

企画や演出を考えるにあたって大事にしていることは以下の通り。

  • 脱線するには脱線するためのちゃんとしたレールがないとだめ。
  • お金をかけずにスケール感を出すにはどうすればいいのか、制限の中で時間を使うというクリエイティブな発想。(正解は一年後)
  • 説という一応のフォーマットに落とし込めることは、内容の自由度を制限しないパッケージとして便利だという点で魅力的。(水曜日のダウンタウン
  • 仮説があってそれに対する答えを出すという形にしたほうが番組として展開させやすい。(水曜日のダウンタウン

制限の中でお金というより、時間を使うという考えはある種、加地さんの制約を愛する発想に近しいように感じる。新たな発想のためには、あるていどの制約が必要!また、入口と出口を事前に決めることで、過程の部分で思い切りふざけることができるというのである。結論の部分も全く関係のない部分を結論付けたとしても、結論を出すという出口を決めていれば、ふざけることができるのである。

 

※ちなみに「水曜日のダウンタウン」での「説」の採用方法は下記の通り

➀「説」を聞いて面白いと思えるか、そのワードだけで既に面白いか

➁検証の結論に興味を持てるか否か

③結論に至るまでの展開をちゃんと面白く描けるのか、そのプランが見えているか

第三章:テレビマンの青春

入社試験で一度落ちているTBS

藤井さんは、就職中は仕事は楽しさと金銭面のバランスが大事。クリエイティブな分野で、自分の興味あるジャンルで働きたいが、フリーになる勇気はない。ということで、TBSを始めとしたテレビ局を目指すことにした。結果、キー局は全滅で、TBSではないTBSエンターテインメントへ入社

周りと逆の雰囲気を出していると憂愁に見える説

「現場では、みんなが焦っているときに落ち着いている風にふるまって、みんなが落ち着いているときに焦っている雰囲気を出すと、優秀そうに見える。」藤井さんはこの考えを意識して行動を変えることで、感情も変わってきたそうである。焦る状況のときこそ冷静に、油断しそうなときに心配をする癖をつけたそうである。これは僕の琴線に触れた考え方リストに登録しなければならない。

理屈っぽくて嫌な子供

藤井さんは幼いころから理屈っぽかったという。それを顕著に表すエピソードが下記の二つ。

・小学生の頃、帰りの会でのじゃんけん大会にて、先生がグーチョキパーの発声をして、生徒が手をだすという形で実施される。そこで、藤井少年は下記のことに気づく。パーは破裂音だから、一旦口を閉じないと発声できない。じゃんけん」という掛け声の後、口を閉じたら、チョキを出せば、勝つことになり、口を閉じなかったとき、グーをだせば勝ちかあいことなるのだ。
・友達とのしりとりの際も、敢えて、「ぢ」「づ」で終わる言葉を多用していたそうだ。(ex)鼻血、切れぢ、焼津、魚津など

恐ろしいですね…子供のころから単なる勝負事でも勝利のために、理屈付けて勝つことを最優先にていたそうである。

ためこんだ無駄が活きてくる

一見すると無駄だと思うくだらない知識や情報もとりあえずため込んでおくと、後々になって発想のきっかけになることがあるという。自分の好きなことやモノのパターンや構造を明確にしておくことが大事で、実際の番組にも音楽と格闘技のネタがふんだんに使用されているという。さらに音楽と格闘技の共通点として、文脈を楽しむということが挙げられ、現在の番組にも文脈、ストーリ性のある企画なども実現されている。

 

第四章:サラリーマンこそフルスイング

原動力は見栄

テレビ業界に天才なんてほぼいない。負けたくないという想いの強い奴が勝つ。体力的にきつかったり、面倒だったり、人に任せて逃げたい気持ちを抑えて、どこまで努力できるか詰められるのかが勝負。やはりテレビ業界でもなんでも根性論になってくるというわけである。

イメージをかけば、やるべきことは見えてくる

目標を明確に持って臨まなければ、何をすればいいのか成功が遠のいていく。イメージを具現化するために逆算でやるべきことを考える。成功への近道なのかもしれない…

サラリーマンこそフルスイング

藤井さんは生活の保護されたサラリーマンのくせに、クリエイターまがいのことができるため、小さくまとまらず思い切りフルスイングすることを意識しているのだという。この考えは、下記のインタビューから、山下達郎さんも大事にしていることが分かる。(山下達郎さんも個人的に好きなので、今後、オススメの曲を紹介するかも…)

「新人バンドなどがよく説得される言葉が今だけちょっと妥協しろよ売れたら好きなことができるから。でもそれは嘘です。自分の信じることを貫いてブレークスルーしなかったら、そこから先も絶対にやりたいことはできない。やりたくないことをやらされて売れたって意味がない。」

やりたいようにできる立場になってから好きなことをやろうは嘘であり、そこそこを狙ってヒットやバントを続けていたら、いざチャンスが回ってきたときにフルスイングできない選手になる。だからこそ、常に自分の本当にやりたいことを積み上げることは欠かせないという。

最後に

水曜日のダウンタウン」や「クイズ・タレント名鑑」などの番組の印象だけだと、クレイジーな人という風に見られがちだが、本書から藤井さんのノウハウを学ぶと、突拍子もない天才的な企画に、こだわり抜いた演出で、自分の独創的な世界観を作り出す天才だと学んだ。小ネタや伏線といったバラエティ番組とは思えない魅力的な演出や、放送ぎりぎりの悪意に満ちたヤバい企画は、彼にしか生み出せないであろうと感じた。今後も彼が生み出す問題作に期待したい。藤井さんを崇拝する熱狂的な視聴者の一人として…

 

 

おまけ

最近の藤井さんが手がける番組の企画で、個人的におすすめしたい回は、間違いなくクロちゃんが手がけたアイドルグループ「”豆柴の大群”の在庫CDでクロちゃんが豆柴とドミノチャレンジ」という企画である。倒れなかった分はクロちゃんが買い取らなければならないという制約があるため、クロちゃんに、モチベーションが発生するという点で、理論を重視する藤井さんっぽい演出が施されているのがいい。さらに、かつてフジテレビで放送されていた「おーい!ひろいき村」のあの伝説のドミノ企画をパロディーにしたように、あの相当過酷な挑戦に挑んだレジェンド達も集結する姿はまさにアベンジャーズそのもの。そして、最後にドミノが倒れた先にはくす玉があり、”豆柴の大群のメジャーデビュー”を知らせるメッセージもついており、番組終了と同時に、新しい楽曲のMVをyoutubeで配信するという商業テクニックも圧巻である。もちろん、演者のクロちゃんの狂気っぷりも十分堪能できるうえ、途中からはクロちゃんを応援したくなるような感情も芽生えるはず。バラエティではなく、これはドキュメンタリー…是非とも、Paraviでご覧ください。

https://www.paravi.jp/watch/58279

 

⇓ 各種SNSのフォローおよびYoutubeのチャンネル登録をお願いします!!

Twitter 

孤独なエンタメ好きの新卒一年目が呟いています。

TikTok

日常の何気ないシーンを切り取ってます。

@doshiyoulife

夕焼けに染まる海 ##海 ##ocean ##夕陽 ##sunset ##波 ##wave ##砂浜 ##beach ##favorite ##like

♬ original sound - D

Youtube

海外旅行の際のビデオを掲載予定。(数年後の予定…)

www.youtube.com


【WDWマジックキングダム】Happily ever after